思い入れが深すぎて、どんな記事を書こうとか、色々考えているうちに、ついに今日になってしまいました(いそがしかったりなんだりしたのも正直ある)(ちなみに前回のブログから1年以上も経っているんですって奥さん)。
誰かの退団ブログを書くのもものすごく久しぶり。本来なら二人それぞれの記事を上げるべきなんでしょうけど、どうしてもこの二人に関してだけは二人でワンセット。普段全然トップコンビ論者じゃない私だけれど、れこ海*1だけはヤクザになる。
目次
- 1.月城かなととの出会いについて
- 2.海乃美月との出会いについて
- 3.運命の出会い、れこ海の誕生
- 4.忍従のとき、そして花開くとき
- 5.そして奇跡が
- 6.グレート・ギャツビーの再演
- 7.れこ海の真髄 ーメリバの名手、そして夢を生むデュエットダンスー
- 8.最後のとき。れこ海を見送って
1.月城かなととの出会いについて
といっても、正直一目惚れ的なドラマチックな出会いはないのですよ笑。
もともと、ヅカヲタピヨピヨ時代の頃からよく読んでいたブロガーさんが、若手発掘がとても得意な人で、れーこ*2が新公主演に抜擢される前から、れーこに注目されていたので、存在は知っていた(ただし顔と名前が一致していない笑)。
「Shall we ダンス?」の新人公演で主演に抜擢されて、タカラヅカニュースで見たとき、綺麗な人だな、と思ったし、上手な人、とも思っていたのは事実なんだけど、あがたの、新人公演時代からゴリゴリに自分が推していた事を考えると(ちょうど自分が色々余裕がなかったこともあるんだけど)ものすごく当時は大好きだったわけではない。ただきれいで上手なので好きではあったんだと思う。
そもそも、私にとって雪組は心のふるさと(←)なので、雪組の子は基本みんな好きなんですよ。
ただ、一つの明確な転換点は、るろうに剣心*3のときに蒼紫のポスターを買っているので、多分1回沼はそこで来たんだと思う。
そして2017年。月城かなとは月組に組替。そこで海ちゃんこと海乃美月とまさに運命的な巡り合いを果たす。
2.海乃美月との出会いについて
まず前提として私的な話になるんですけど、私、ヅカ堕ちしたのが2011年なんですよ(ほぼ末だけど)。だからなんとなく97期生には思い入れが少なからずあって。
私がヅカ堕ちして、割と初期のうちに買ったヅカグッズのうちの1つがレビュー本2011なんですけど、まだなんーにもわかっていないうちからこの子綺麗な子!って思っていたのが海ちゃんなんですよね。そして実は私の初観劇作品であるところの「クラシコ・イタリアーノ/NICE GUY!!」にも海ちゃん、組回りで出ていて、初恋の凰稀かなめと併せて実は巡り会ってた、というww。(もちろん、認識なんてできてない。が、数年後プログラム見返したとき、研1の海ちゃんかわいい、と思っていたので、やっぱり好みの顔なんだよなあ。)
海ちゃんは、まず個人的に娘役としてほんと私の理想の容姿なんですよ。変に女性性を感じさせない少女系の美人、首長小顔族で腕がスラリと長い。
役者として認識したのは「THE KINGDOM」で、この頃はそつなくお芝居をこなすけれど硬質な特性を持つ娘役さんで。役者として少しずつ目覚め始めたきっかけ、と思ったのは「舞音」のホアンなんだけれど、その後本格的に沼落ちしたのは、やっぱり「グランドホテル」のフラムシェン。フラムシェンって、普通に性格描写したらすごーく同性に嫌われるタイプじゃないですか。考えなしにこどもを作り、強かに玉の輿を狙ったりスターになることを夢見たり、でも行動が浅はかで、結果人を巻き添えにして死に至らしめてしまう。そして自分はお腹の中の子供もろとも引き取ってくれる、ちょっと頭弱な男性との生活をゲットしてしまう。
でも、海ちゃんのフラムシェンはその愚かさまでも愛らしい。そして全身から生きる歓のエネルギーが発散されている。死神になぞらえられるグルーシンスカヤの鏡としての存在ぶりがあまりに見事で。存在が天使そのものな美弥ちゃん*4オットーとの取り合わせがあまりに輝いていて愛おしかった。
こうして、現役娘役の中ではトップクラスに好きな娘役に海ちゃんが躍り出たところで、れーこが組替を果たす。
3.運命の出会い、れこ海の誕生
れこ海の初の共演は美弥ちゃんの初の外箱単独主演作品「瑠璃色の刻」。ただ、このときは一応海ちゃんは美弥ちゃんの相手役で(一応というのは、この作品において美弥ちゃんはある意味誰も相手役としていなかったから。どちらかというと美弥ちゃんのサン・ジェルマン伯爵は、さちか*5演ずるマリー・アントワネットのほうがまだ相手役味があった。)、れーこは2番手で、あまり相手役どうこう、という雰囲気ではなかった。
だから、初めて二人がカップリングらしいことをしたのは2017年全国ツアーの、「鳳凰伝/CRYSTAL TAKARAZUKA」のショー内「シンデレラ」のシーン。実は海ちゃんは本公演時からの2回目*6だったんだけど、まぁーこのときのれこ海は可愛かった!考えてみればお披露目の「今夜ロマンス劇場で」の素地がすでにここであったのかもしれない。
その後「カンパニー/BADDY」を経て、ついに2人は「THE LAST PARTY」で初めてのコンビ芝居をすることになる。
正直なことを言わせてもらうと、このとき私は、当時の贔屓:珠城りょうの相手役候補として、海ちゃんが来てくれることを望んで、ものすごく焦っていた。たまきちの相手役として横に並んでほしい、っていうこともあるけれど、このタイミングでトップ娘役の地位をつかめなければ、今後のチャンスが厳しいかもしれない、と感じていたから。フラムシェンのお芝居に惚れ込んでいた私は、トップ娘役になってもらわなければ、彼女のヒロイン芝居が拝めないかもしれない、と思っていたから。
実際の海ちゃんがどうであったかはわからない。ひたすら自分のすべきことに集中していたかもしれないし、焦っていたかもしれないし。ただ観客である私にわかるのは、この公演のときの海ちゃんが壮絶なまでの後光を放っていたこと、新婚のスコットとゼルダのラブシーンやフィナーレのれこ海のデュエットダンスが夢のように美しかったこと。たった1回だけれど、あの作品を生で見られた記憶は、今もなお私の胸の中の大切な大切な宝物である。
4.忍従のとき、そして花開くとき
2018年7月。月組のちゃぴ*7の後任のトップ娘役が発表された。
まぁ〜荒れましたよ、その当時。色んな意味で。そのへんに関してはこの記事の主筋から外れるし、思い出したくもないのでここでは触れませんが。
そしてちゃぴの退団公演の「エリザベート」が開演。宝塚での公演は、贔屓の美弥ちゃんの一時休演もあったりして、色々気持ちが穏やかじゃなかったでしたけど。
10回目の宝塚での「エリザベート」再演に際し、歴代とはまるで違う仕上がりの作品になったのがとても面白く。その一因が間違いなく、れーこの、トートの存在を嘯くルキーニにあったと思う。少なくとも宝塚版の「エリザベート」において、トートという存在には嘘がなかった。トートという存在が、実はルキーニの最大のホラ吹きの可能性があるかもしれない、と思わせたのは、れーこのルキーニのせい(?)だった。
そんな「エリザベート」再演を経て、美弥ちゃんのバウ主演作「Anna Karenina」にて、れこ海は夫婦となった。この公演、美弥ちゃんの(終りが見えた)男役集大成の、人を狂わせる凄絶な美しさもさることながら、運命の恋に狂う海ちゃんのアンナの美しさと恐ろしさ、そしてそんなアンナに対し静かに嫉妬と恋情に狂うれーこカレーニン。
三度目の上演にしてこの作品の大正解を叩き出してしまったこの3人。これほど生でこの作品を味わえなかったことを悔しく思ったことはない。2人だけの恋の世界に狂うれこ海、メリーバッドエンドの名手(←)としての方向性を決定づけたのはこの作品のせいだと思う。
あまりにも素晴らしすぎて、このあと海ちゃんが辞めてしまうのではないか、という恐怖にとらわれた私。結果的に海ちゃんのこのタイミングでの退団は回避できたのだけれど、引き換えのように神様は私に海ちゃんの部分休演という試練を与えて。
そして、私にとってしんどいの極みに陥ったれーこの長期休演。この時はたまきちも不調、美弥ちゃんは退団プラスやっぱり不調、とほんとに色々ありすぎた公演で、まさに忍従のとき、だった。この時は正直ヅカヲタとしてメンタルが安定しなくて、色々しんどい時期だった。そんな中、なんとか無事に戻ってきてくれたれーこ、戻ってきてくれたことはもちろん辞めないでいてくれた海ちゃんにはほんと、感謝してもしきれない(実は、れーこも少し危惧しないではなかった。ただ、美弥ちゃんが退団したうえでの…であったので、可能性は著しく低かろう、とは思っていたけれど。)
そして世はコロナ禍に。ただ、2人はその時間を決して無駄にはしていなかった。
5.そして奇跡が
コロナ禍になりまして、劇団がすぐに直面したのが若手育成問題。多分あの当時のトップ娘役の育成スタイルの流行から行くと、おそらく「舞空瞳」モデルを主で行く可能性が高く、狙いの娘役がトップ娘役になれそう!というタイミングで、その1年前後くらい前から新人公演ヒロイン⇛外箱ヒロインを怒涛の勢いで積ませつつ、あまり回数をこなさないでフレッシュさと未完成感を演出。まぁ重ねるとして、トップ娘役の退団公演のタイミングでダメ押しで新人公演ヒロインをもう一度、ってのがいいところ、という感じだったかもしれない。そのモデルで育てられる想定だったかもしれない子達が、夢白ちゃんであり、お羽ちゃん*8だった可能性が高い。
ところがコロナ禍で公演が止まり、再開しても新人公演できず、で、特に煽りを食ったのは、ピガールから一気に育てられる想定であったろうお羽ちゃん。(今思えば、お羽ちゃんのガブリエルはすご〜い観たかった…。)
で、経験値豊富であるところの海ちゃんに白羽の矢がたった…という建付けっぽいですけどどーですかね。いざ、こういう結果になってみると、いかにもピンチヒッター的登用であった雪組に対し、月組は本命臭がプンプンするんですが。欲目ですかね?
まぁ邪推はともかく、私にとってはもう奇跡でしかなかった。海ちゃんのヒロインをこれから幾度となく見ることができる。そして、こんなに絵面が、パフォーマンスの波長が、合うコンビを知らない…!こんなにストレスフリーで観られるトップコンビはもう2度と会えないかもしれない…!この2人のトップコンビ結成は、私が10年近く(当時)宝塚を観てきた上で、最大のご褒美であったと思う。
れこ海の就任のお陰で、私はなかなか行くきっかけができないでいた博多座に足を伸ばす事もできた。そして、お披露目、特に「FULL SWING!」は大っっっ好きで、フィナーレのMantecaは私のヅカヲタ史上屈指の大好きなフィナーレに。それだけでも私にとっては最高だったけど私は知らなかった。もっと最大の、私のヅカヲタ史上の夢が叶うことを。
6.グレート・ギャツビーの再演
れこ海体制に関して、これを抜きに語ることはどうしてもできない。
その昔、まだヅカヲタピヨピヨの頃、学生だった私はスカイ・ステージで放送されていた2008年の「グレート・ギャツビー」があまりに面白すぎて、午後から大学の授業に出なければならない日だったのに、授業をサボった(←)、それだけ衝撃を感じた作品だった。何より忘れられなかったのが、かつて愛した男の墓穴に、無表情で、ぞんざいに薔薇の花を投げ入れた美女の存在だった。当時まだまだ子供だった私には、とてもその美女・デイジーの気持ちを理解することはできなかったけれど、とにかく忘れられないシーンになったのだ。
そしてヅカヲタとして年を経た私は、もともと、れこ海でグレート・ギャツビーどうこう以前に、海ちゃんに、その驕慢な美女デイジーを演じてほしかったのだ。そして、最初に私がギャツビーを望んでいたのは、誰あろうたまきちで、れーこはトムをやってほしかったの。残念ながらその形での上演は叶わなかったけれど(笑)、この上ない絵のように美しい並びの2人で夢だった「グレート・ギャツビー」という作品を生で、海ちゃんのデイジーをこの目で、見ることが叶った(ちなつにトムをやってほしい、という想いも叶ったし、おだちんがニックであったことで、あの役の面白さも理解することができた)。
初めてあの再演を宝塚の地で、観ることが叶ったその日はもう、衝撃でしばらく客席から立ち上がることもできなかった。「桜嵐記」の観劇後の衝撃並みだった。あの作品を初めて自分の目で、自分が望んだキャスティングで、観ることができた喜び、きっとあれは私の中で一生忘れ得ない想い出になると思う。
7.れこ海の真髄 ーメリバの名手、そして夢を生むデュエットダンスー
れこ海の特色って、ファンによって色々と上げるところがあると思うんですけど、私の思うところ、そして好きだな、と思うところは、①メリーバッドエンドの名手、そして②夢のようなデュエットダンス、だと思うんです。
メリーバッドエンドの名手、っていうのは、やっぱりれこ海二人の恋の世界にどっぷり、二人同じスピード感で堕ちていく、っていうのが大きいように思う。ハッピーエンド、と作中で語られる「今夜、ロマンス劇場で」にしても、確かに健司の脚本内で健司と美雪は結ばれるわけだけれども、現実世界で見れば、健司は美雪を殺して、自分もこの世を去っていくんだから、ある種の無理心中事件であるわけで(笑)。だけど、美雪がそうしてほしい、と望んでおり、なおかつ、美雪を生かしたまま健司が死んでしまうと、もう美雪のことをどうにかできる人がいないからこそ健司が美雪のケリをつけてあげた。そういう意味では私はあの作品を、ハッピーエンドの「人魚姫」と考えています。
「Rain on Neptune」も、トリトンが守る想定で作られたネプチューンが、シャトーとともに宇宙を巡るのが果たして幸せになるのかわからないし、そもそもトリトンは、ネプチューンが彼の妻の記憶を持っていたからこそ、いつかは帰って来る約束のもと彼女を解放したのであって、明らかネプチューンに惹かれている節のあるシャトーと彼女が一緒にいたら、いつか絶対争いの元(笑)。
ギャツビーは明らかな悲劇であり、でもデイジーへの恋情に殉じたと考えればある種ハッピーエンド的でもあり。ブラックジャック・応天の門は、れこ海でのラブの物語ではないのでメリバ云々ではないけど(でも、応天の門は共闘した常行がいずれ道真の敵となりえそうなラストシーンがあるので、一筋縄ではいかないハッピーエンド?だし。)
Death Takes A Holidayは、れこ海のメリバの最たるところでしょう。2人には(というかグラツィアには)最高の幸せであるけれど、周りの家族やらなんやらには最大の悲劇。絶っっっ対的に悲劇にはなりえそうにないハッピーエンドは、多分「フリューゲル」くらい。作者がハッピーエンドのつもりで書いている作品でもすーぐメリバに持ち込んでしまうのがれこ海の特色だなぁ、と思ってしまうし、悲劇すら、恋に酔うこの2人には幸せの極みなのかもしれない、と納得させられてしまう。
そしてそんな調子なのに、この2人の生み出すデュエットダンスは種々様々な夢を見せてくれる。「FULL SWING!」デュエットダンスみたいな、シックな世界観が、らしい持ち味かな、と思えば、「Dream Chaser」のデュエットダンスのようなミッキー&ミニーのようなドリーミィなデュエットダンスもアリで、ギャツビーのような神聖なボレロも良くて、「Deep Sea」の「黒い瞳」のように火花バチバチでも。多分れいこの体的問題もあるだろうけど、振り数とかは決して多いデュエットダンスではない。だけれど間が持って、色々な夢を見せてくれるのだから、ホントデュエットダンスってダンスの技術とか身体能力ではないなぁ、と思わせてくれる。
8.最後のとき。れこ海を見送って
そんなデュエットダンス。「万華鏡百景色」の宝塚大劇場公演での「目抜き通り」のデュエットダンス。生で観ていたわけではないけれど、2人が尋常ではない輝きを放ち、これまで観てきたデュエットダンスの中で、本当に幸せそうな表情で。私、おそらくれこ海は5作任期だとは思っていたけれど、このデュエットダンスを見たときに間違いなく次で、添い遂げ退団で辞める、っていうことを確信したのでした。
最初に言った通り、私は決して添い遂げ論者ではない。ただ、そのスターの特性に合った退団の道は選んだほうがいい、とは思っていて(何せトップコンビに関しては退団もビジネス)、孤高のカリスマトップ路線、という雰囲気で売っているトップスターや、カラッとした自立型トップコンビなら単独退団もあり、娘役がいかにもなお慕い芸ゴリゴリタイプだったり、劇団がコンビ売りをゴリゴリしてきたコンビなら添い遂げにしないとおかしいよなあ、とは考える。その点、れこ海は絵柄があまりにしっくり来すぎてて、娘役とあまりイチャイチャするタイプでないれーこが、わざわざファーストフォトブックで相手役指名して呼びつけるほど。それ以外にも故意か偶然か、色々な巡り合わせのもと一緒にやってきた二人。これほどに気持ちを盛り上げられて、添い遂げでなかったらどうしよう、とずっとハラハラしてやってきて。
今、こうしてなんの運命のいたずらか、七夕という日にコンビとしての集大成を迎えるなんて、激重な感情を抱かないほうがむりというものではないですかね!?!?
こんなにコンビとして最初から最後まで大好きな2人っていなかったかもしれない。そして、この経験て本当に幸せな経験なんだね。
きっとこんな経験なんて多分今後しばらく当分来ない
こんなに幸せな経験をさせてくれた、この2人に心の底から感謝を、そしてこの先の人生に幸いを。