Reikaの徒然草(改)

つれづれなるままに…ヅカ感想メインのブログ。ヅカ以外のことも語るよ。

いま、オーシャンズ11を考える

いえね、ついこの間宙組オーシャンズ11が放送されていたじゃないですか、スカステで。
それを流し見していて、どうしてこうもちょっと残念な作品になっちゃったんだろうなぁ、っていうのを考えてまして、ちょっと自分なりに結論が出たような気がしたので、改めてちょっとこういう場で考えていこうと思ってます。
残念な作品になったとはいえ、ベルばらのような盛大人格崩壊作品ではないし、夢現無双のような地雷・逆ツボ作品(まだ言う…笑)でもないし、イケコ作品の中で個人的にダメだったナポレオンやポーの一族までひどくないので、エンタメとしては全然アリだし、ヅカのいろいろな作品の中ではまぁ中か中の上くらいではあるかなーという感じです。太田先生の曲は好きだし、はなからイケコの作品に中身はあまり求めてないので、いい塩梅にジェットコースター(笑)なこの作品はいい方ではある。
ただ、特に花組での再演からどうにも引っかかるところがあって、今回の宙組花組版に即して作られているので、その引っかかっているところがそのまま残っている感じです。

私にとってオーシャンズ11という作品は、ヅカ版に限らずシナトラの「オーシャンと11人の仲間」にしろ、クルーニー・ブラピの「オーシャンズ11」にしろ、「スター集結の超大作!大人のためのゴージャスエンタメ決定版!」みたいなイメージが勝手にありまして(笑)。肝は「大人のための」というところで、シナトラ版の「渋い粋さ」やクルーニー版の「大人のスマートさ」をこちらとしては求めたいところなんです。あとはエンタメとして洗練されたゴージャスさ。
んで、まだ私がヅカファンピヨピヨだった頃に星組で初演がなされたわけなんですが、なんかのタイミングでYou Tubeオーシャンズ11の制作発表会があったのを見たんですね。で、それの音楽やら演出やらがとにかく大人でかっこよかったんですよ(何なら本編より(殴))
で、いざ本編の方は、まぁ制作発表会の方がかっこよかったとはいえ、大人なチョイ悪男を中心に、ちょっと後ろ暗いところがある面々と、それを超えるどこまでも悪い巨悪との対立、ゴージャス美女とチョイ悪男との(ちょっぴりエロも込みな)ラブ模様、巨悪なベネディクトを含めたトライアングル、そのトライアングルにちょっかいを出す気が強くてちょっとめんどくさいけど大人なイイ女…。要所要所「いつものイケコだね〜(生ぬるい笑い)」という要素はあれど、土台が大ヒットハリウッド映画なだけに(そもそもハリウッドのヒット映画も大衆性は強いし。大衆性バンザイ)、ゴージャスエンタメ、という仕上がりに。
ところが再演以降はダニーはともかくとして、テスはどちらかというとロリっ娘なキャラ立ちの子たちがやり、ベネディクトたちは悪なんだけど憎めないところもあるのよ〜、ってな部分を出されちゃって、ラスティは完全に笑いどころの三枚目キャラに落ちちゃって、ダイアナは盛りを過ぎたおばはんの役どころになっちゃって、それでも肉食系なところを笑い者にされるようになっちゃって…。
どうしてこうなっちゃったかはわかりますよ?だってこうしたほうがどんな観客にもわかりやすいから。ベネディクトを路線の男役がやる以上、金で女をどうにかしようとするケツの穴の小さいハラスメント男よりは、悪いことはするけど憎めないとこもあるんだ〜みたいな方がそりゃあ魅力的に見えるもんなー。で、そのままだとダニーサイドが悪いばっかりに見えちゃうから、ラスティを思いっきり三にしちゃって落とす、と(まぁ花組再演のときはみっちゃんの悪ノリ芸達者を見せつける、っていうのもあったと思うけど)。でもそうやったって、ベネディクトは法に触れることはしていない、ダニーのほうがよっぽど悪い、って意見が出ちゃってるのに。
ダイアナの方も年増のガツガツ女のほうが、周りから嫌がられるのがわかりやすいよねー、っていうテイストで作っているんだろうけど。でもそういうテイストにしちゃったせいで、テス、ベネディクト、ダイアナの三者の男女の微妙なピリピリテイストがなんかダイアナの独り相撲の滑稽なものになっちゃってなんだかなーという感じ。
せっかくゴージャスエンタメ、大人の洒脱な犯罪コメディ(そんなジャンルあるのか?w)だったのに、スポンサー公演じゃなくなって衣装がチープになったのと同時にwなんだか安っぽ〜い勧善懲悪大衆コメディみたいになっちゃって、ぬーん…。
ただでさえテスがヅカ史上トップクラスに嫌いなヒロインなのでwwオーシャンズ11における良かった部分がカットされちゃったら、曲とかぐらいしかいいとこなしじゃん?
や、わかりやすいから一見さんにはいいのかもしれないけどねー、ねー…。

でも個人的にはやっぱりただの勧善懲悪ものというより(そもそも両サイド悪だしね、この話)、大人の犯罪物、狐と狸の化かし合いのほうが私は好み。そのうえで主役が勝つ、って展開にすれば宝塚の法則には外れないし、物語に変な歪みもなくていいんじゃないかなぁ。
だから私の好みとしては初演に近いテイストで、
①ダニー、テス、ベネディクト、ダイアナ、は同年代の魅力的な男女にする
②その4人に関してはコメディの範疇でいいから男女のドロっと感を出す
③ベネディクトに関しては善っぽい部分はほとんど出さなくてよし。わかりやす〜い、同情の余地なし、ハリウッド的the「悪人」でよし。「色悪」であれば宝塚スターとしても十分魅力的なはず。ラスト徹底的にやっつけられる意味もある。
④ラスティは三にしない。初演のとよこさんみたいな色男な優男(暴力に負けるのはOK)にする。変装シーンとかはあっていいけど、それをメインにしない(あれこそある意味一見さんに優しくないじゃないか、って感じがするよなぁ…)。
これなら「オーシャンズ11」って名前に恥じない犯罪エンタメになると思いますけど。

どーですか、小池修一郎さん?(笑)