Reikaの徒然草(改)

つれづれなるままに…ヅカ感想メインのブログ。ヅカ以外のことも語るよ。

萌えが過ぎると止めどがなくなるんだね -ONCE UPON A TIME IN AMERICA 感想2-

はい、下手なこと書くとまた長々になりそうなんでそのまま行きます(笑)。
 
だいもん@ヌードルス
個人的にこのだいもん好きですねー。大好物。貫一郎さんなだいもんとどちらが、っていうくらい好きかも。
いや、ヌードルスというキャラクタ自体は、デボラへの気持ちの曲がりっぷりというか、歪みっぷりはヤバいと思うし、や、好きな女を口説くときにその女の神経逆撫でするようなこと言ってどうするよ、とか、そもそも夢を見すぎだろ、子供のころの夢を愛惜しているだけでデボラのどこも愛しとらんだろ(笑)っていうところとか、ツッコミどころだらけなんですけど(笑)。でも「バラと王冠」とか「真夜中にひとり」とかでの狂おしい愛は、なんだかとても胸をかきむしられるんですよねー。って、太田先生の曲の上手さとだいもんの歌唱力の賜物かww
なんだろ、同じ無神経男でもラヴィックの無神経さは腹が立つというのに、ヌードルスには腹が立たないのはだいもんの被虐性?ww
個人的に好きなのは壮年期のヌードルス。いや、ガキンチョの美貌は早晩見飽きるけど、渋い大人は大好き(永遠の美少年はまた別)。枯れたオジンが魅力的に見えるのはさすがだいもんのキャリアのなせる業、といったところ。
派手にドラマを動かしていくのは違うキャラクターたちで、どちらかというとヌードルスは対デボラ以外はそれほど能動的ではないというか、ヅカの主人公にありがち巻き込まれ体質というかで、気づけばすべてが散々な結果に終わっていたっていう(←酷い要約)ドラマの作られ方なんですけど、だいもんが、どこが主役、俺が主役と、物語の力点を自分に持ってきてくれるので、スッキリと見渡せました。
 
まあやちゃん@デボラ
前回の感想だとマク×ヌド話とかジミ×マク話とか、とりあえずマックスの話しかしていなかったので、デボラもキャロルのことも全然触れていなかったですが、こちらの女性陣もものすごく興味深いです。キャロルは萌えだし、デボラの存在は本当に興味深い。
デボラの役回り自体はシンプルなもので、悪い男がその存在に焦がれ、安らぎと癒しを求める清浄の光。平たく言えば、不良の番長が片想いするお嬢様とか生徒会長とか(←え)。極論化するとバッディとグッディみたいな間柄になるわけですが(←)、実社会で生きる人間であるところのデボラはそう簡単に一筋縄ではいかないわけで。とは言いつつも、デボラの清浄さはこの作品の中ではかなり異質。
この作品はダークサイドで生きる人間が半数、ダークサイドの人間ではないけれどキャロルのように染まってしまったり清濁併せ呑んで生きている人間が残りの半数近く、といった構成でできているこの物語において、デボラはどこまでも清浄。女優という仕事柄、枕やその他諸々飲み込まなければならない暗部も多くあったろうに、彼女はせいぜい禁酒法時代において付き合いで多少酒を嗜む程度の悪にしか染まらない。おそらくその清浄さに、生まれついてダークサイドで生きてきたヌードルスやマックスは癒やされ、その光に焦がれていたのではないかと。まあやちゃんのキャラ、特に歌声がそのデボラの清浄さに合っていると思います。
まあやちゃんの歌声ってある種の強さを持っていて、人をひれ伏させるんですね。それが例えばファントムの「My true love」なんかには上手く生きているなぁって思うんですけど、今回のワンスはそれ以上に上手く生きてました。ヌードルスたちを焦れさせるデボラの清浄の光の部分と、その清浄さ故にヌードルスたちを痛めつけ、追い詰める光ゆえの毒の部分と。日常生活にもいると思うんですよ、確かに言っていることはとてつもなく正しい強い人。自分が正しいことに揺らぎない誇りを持ち、それ故にとんでもなく強い。だから自分の言ったこと・行ったことで周りの人間がどれだけ傷つけられ、へし折られたかなんてことも気づかない(まあやちゃん本人がどうこうじゃないよ。デボラというキャラクターの話ね。)。
場合によっては死に追い込まれた人間もいるかも知れないけれどその人には預かり知らぬこと、あるいは気づいていてもそれはその死んだ人間が弱すぎるんだ、で片付けてしまう。それこそピースフルプラネットがはぐれものをはじき出すように(だめだ、どうしてもBADDY脳)。人の心の正しさというのが時として凶器となりうるのがよくわかりました。特に阿片窟のシーンは、多分どの幻影よりもデボラの幻影、彼女の歌声がヌードルスを痛めつけていたんだろうなぁ…。
そんなデボラも恋人の裏切り、世間の冷たい反応もあり、ただただがむしゃらに努力すればなんとかなるわけではないことを知って、清濁併せ呑まなければならないことを知ったんだと思う。その点、宝塚版でデボラ側の事情も描写があったのは今回良いアレンジではないかと。この大人にならざるを得なかったシーンは泣かされたなぁ。壬生義士伝とかと違ってあまりさめざめ泣くような物語ではなかったけど、このシーンの大人になって何かを失ってしまったデボラは泣かされるシーンでした。
結局なんのかんのヌードルスもデボラも少年・少女のまま大人になってしまった、その点では似た者同士で、それ故惹かれ合いもしたんだろうけど、結ばれる二人ではなかったんだと思う。
 
さきな@マックス
やーなんかもう感想1でマックスについてさんざっぱら語り尽くした気がするので今更な気もするんですけど(笑)っていうかキャリエールからこっち、ほんとさきなの芝居に惚れ込みすぎてて、いっつも芝居はさきな視点でしか物語を見られなくなってるんですけど、これは恋なんでしょうかね(←)このさきな好きですー。やーマックスは自分の彼氏じゃやだけど、でもあの背中を後ろから抱きしめたいかも(←)
大好きなのは「憎みきれないアメリカ」でヌードルスに説き伏せられているのを、ちょっと小馬鹿にしたような表情で眺めながらおもむろにガバっと脚をおっぴろげてソファに座るところですね。ブルーレイも千秋楽も映像にならなくて悲しい。(あとフィナーレの脚をおっぴろげて大階段に座るところが映像だときれいに映ってなくてこれも悲しー)
 
あーさ@キャロル
やーもうこれは語り始めるとこの一記事じゃ絶対に収まらなくなると思うんですが(笑)さきあさの絡みはずーっと欲しかったんですよねー組替えしてから。でも組替え早々は「あの」ネモ船長だったし(笑)、「ひかりふる」はあさだい、「SV」はなぎあさ、ほかもあまりそーゆー絡みなくって、「壬生義士伝」「〜黄金の翼よ」とか思いっきりまたあさだいだったりするから、もう全然絡みなくっておねーさん悲しかったよ〜(笑)
なんかそうしたら今度は思いっきり絡み、それも情婦役(大歓喜)ゆ、夢じゃないよね?(ほっぺつまみぃ)(あ、痛い)一度カップコンビを組んだ相手に対する愛が重いことに定評のある朝美絢さんなので、まぁイチャイチャっぷりも、マックスを見つめ揺らぐ瞳もたまらないのなんのって…東京の初日近くですでに愛情が重かったので、BADDYのバディスイのイチャつきが回数追うごとにひどくなったように、マクキャロの愛情が強くなっていく様を見たかったんだけどなー。
個人的に好きなのは、マイアミのシーンで地元の男に絡まれてるのをマックスが追っ払うのと、その後のマックスのバックハグ、あとは、連邦準備銀行を襲うのを止めてくれ、って言っているときに犬を殴って家に帰ったあと震えて泣く、っていうエピソードですね〜(真顔)さきなのマックスは間違いなく犬殴って震えて泣いてるし、そんな彼をあーさキャロルは多分後ろから抱きしめたりなんだりするんでしょうね。で、こういうときはマックスもキャロルにすがって、いつしか彼女の腕の中で眠っちゃう…とかね、そういう日常(日常か?これ(笑))が妄想できて楽しいです(ええ、それこそR18クラスも(殴))
 
なぎしょ@ジミー(地味ーって変換されるのやめてww)
ザ・鬼畜。
や〜なんか久し振りにいいなぎしょを見ました(笑)。
爽やか善良な美青年を気取りつつ、抜け目なくいかに自分がいい思いをするか計算し、利用するだけ利用し尽くしたあと、自分の邪魔になるからと容赦なく切り捨てる、しかも自ら手は下さない卑怯極まりない男(笑)。
ジミーって対マックスに関しては多分利害オンリーではなくって、ちゃんと情もあったんだと思う(腐った意味だけじゃなくってね(笑))じゃなかったらあんなズタボロのめんどくさい状態のマックスをわざわざ助けて、ニセの人格を与えてやるなんてことしないでしょう。口のうまいジミーだから適当にごまかして警察に渡したほうが早かったはず。だけど彼はあえてリスキーな方を取ったんだから、匿った時点ではそれなりの情があったんだよね。だけど、結局ジミーはおそらく自分しか愛していなかったんでしょう。だから、自分の身が危うくなるとへーきでマックスを捨てた(ちなみに舞台のほうじゃジミーが既婚か未婚かわかりませんけど、ここはぜひ愛のない結婚かなんかしてくれてるとさらに萌が爆上がりします(笑))
役の話ばかりになっちゃった。いや、なぎしょがジミーの胡散臭さ、卑小さが上手くてねー。特に年食ってからの食えないやつ感がたまらなくいい。
(ひとつだけ、マックスに死んでくれって言っているときのシーンの歌が、珍しく歌が気になりました。いや、なぎしょの歌唱力って音痴は音痴として、あまり普段気にしたことないんだけど、このシーンだけはすごーく気になってしまった。迫力がかけるからかなあ。あみちゃんの新公が見たい…)
 
他のキャストに関しては正直書き込みが薄く、あまり言及することが特にない…とはいえ他のキャストの書き込みを濃くしたら、絶対つまらないドラマになったと思うので、そこは一長一短。ふつーにまなはるがうまく、縣は美しく、みちるとあみちゃんは可愛い、といったところか。
割と私宝塚のスターシステムに従順というかwそりゃいろいろなスターの見どころはあったら嬉しいなとは思うんだけど、見どころ増やすことでドラマ薄くなったり、果ては崩壊を起こすくらいなら真ん中に近い方のスターのドラマやキャラクターを濃く書き、脇にそれるに従って薄くなるのがふつーだし正しいと思うんで。
ここ最近イケコのオリジナル作品は微妙と思うことが多い中でひっさびさの萌作品でした。
(スカステですわっちの新公放送しないかなぁ)
(ずっとリクエスト出してる)
(すわっちのヌードルスは絶対強いww)
(被虐性はだいもんゆえだからなww)
(そして縣のマックスの美貌を拝みたい)
(そして美少年あみちゃんがどんなふうに鬼畜男を演じ、美貌の縣を転がしたのかとww)

ある男のアメリカという国への壮絶なラブレター -ONCE UPON A TIME IN AMERICA 感想-

みなさま、何かとせわしない世の中ですがコロナ疲れになってませんでしょうか?
はい、私は疲れてます(笑)。
娯楽もろもろ封じられつつの時差出勤なうであるため非常にやるせなさを感じております。
まあそんなこんなですがワンスを観に行ったのに感想を書いておりませんでしたので、あげたいと思います(ちなみに宝塚が公演中止・休止を最初に決めたタイミングの日に観劇しました)。

2020年、こんなドツボな作品が初っ端に当たってだいじょうぶなんだろうか

って思いました(笑)(まぁ現状を見るとだいじょばなかったのかもしれないけど…)。
いや、見始める前からちょこっと予習してて絶対ツボな予感しかしなかったし、制作発表のマックス@さきなとキャロル@あーさ見てたら、ドハマりする予感しかしなかったけど、新作における最近のイケコに信用が置けてなかったので(AfOは生田くんの作品だと思ってるので笑)、ちょっとハラハラしながらタカニュの初日映像をみて、あ、好きな世界観かもしれない、となり、観に行って無事スッコーンとハマって帰りました。なので、その後手持ちのチケット全部パーになり(しかもなぜかこういう時に限って雪組なのにS席1階席が観に行った日含めて2回も当たっているという…。そしてトータル観劇数3回当たってたはずなのに…)悲しいやら悔しいやら…。

それはともかく、今回は大好きな太田先生の音楽もほぼあたりだらけで最高だし(フィナーレの咲奈中心の男役群舞のシーンの音楽のアレンジだけちょっと気に入らなかったけど、あれは太田先生がどうこうよりアレンジとか演出の方向性の問題だもんな)、萌えも多くて楽しいし、2020年早々からダンオリやらハポンやら、萌えな作品多くて幸せです。

よくよく考えてみると主要な5人のみがきっちりドラマが書かれてて、ほかのメンバーについてはほぼほぼモブに徹している、退団者も路線の娘役にもいい見せ場ほとんどなし、下手すりゃ路線若手男役もいい見せ場なし(綾くんなんてほとんどいてもいなくてもいい役って…)っていう地雷一直線作品なんですけれども、最高な作品でしたねー。やっぱり面白い作品って大人数動かせないんだなー。

Twitterでもちらと書いたんですが、ファントム以来どうにもこうにも咲奈視点でしか物語を見ることができないんですよねー(笑)いや、芝居の方向性はもともと好きなんですが、ファンなのか、っていうレベルでは見てます。
で、今回もご多分に漏れずマックス視点でばっかり物語を見てます(笑)で、愉快に萌えまくってます。(こっから先、腐寄りの感想となりますので苦手な方はブラウザバックでお願いします)

映画のあらすじとか読んだとき、多分マク×ヌドになるんだろうな、とは思ったんです。いや、ファントムからこっち、さき×だい な作品が大劇場は続いてたんで(っていうか凱旋門を除けばひかりふるもそんな話だわな)、原作がもろそういう路線なら、まぁ今回もそういう路線で来るんでしょう、そういう方向で今現在受けてるんだし(でも私はさき×あさの絡みももっと見たいのよ〜!!)って思いながらマイ初日を迎えまして。

マク×ヌドのようでジミ×マクでした(マク×ジミなのかな?)(や、でも最初のうち矢印のベクトルがやたら強かったのはジミーだった)(分かる人だけわかって)

いや、別にマク×ヌドは0%ではなかったけどね(にっこり)。
なんだろ、マク×ヌドの関係が「マックスの盛大な片想い」なら、ジミ×マクは「依存関係」とでもいうか。
マックスの片想いっぷりは凄まじくって、育ち盛りでサイズ感なんて絶対大幅に変わっているはずなのに、なぜか(笑)ピッタリの、よく似合うスーツ用意しちゃうし、喜ぶ顔見たくてサプライズでデボラ呼んじゃうし(笑)(また、ヌードルスの顔色伺う咲奈が巧いし(笑))、完全に反応1個1個が好きな人の気を引こうとする人間のやり口だよなあ(笑)

多分、連邦準備銀行襲撃を拒否されるまでは多分マックスには片想いの自覚はなかっただろうなぁ…。刑務所にいた間にヌードルスが変わっていったのは薄々感じていただろうし、そもそもヌードルスの心はデボラでいっぱいいっぱいだったのは少年時代からわかっているんだから、両想いでないのは把握していただろうけど、少なくとも分かりあえているとは思っていたと思うんだ。それを多分誤魔化し誤魔化し、彼は生きてきたんだと思うんだよね。
でも、連邦準備銀行襲撃計画を拒否されたことで、彼が無理くり自分に信じ込ませてきた幻想が破られた、本当はヌードルスもマックスほどの熱量ではないにせよその友情を大切に思っていたのに、自分と同じものを見ていない、と思ってマックスは盛大に拗れたんだよね、きっと。あーめんどくさい男、大好きだよ(え)

マックスがジミーに依存するようになったのって、もちろん向こうが必要としてくれたってのもあるし、新しい自分で生きていかなければならなくなった上で、頼れる人、元の自分を知っている人間がジミーしかいなかった、っていうのはあると思うけど、自分が無理やり信じてきた幻想が破られて、心の拠り所がなくなったのも大きいんじゃないかなあ。そこにジミーがつけ込んだんならとんだ鬼畜野郎だわ(笑)
(にしても某支部で中年〜壮年期の頃の二人の事後の作品読んだときは「まぢか」ってなったけど(笑)いや、大変美味しくいただきましたが(笑))
(あ、その作品はマク×ジミだったわ)
(でも個人的に求めている度合いが強いのはジミ→マクなんだよな)
(役者の持ち味的にはマク×ジミになるのわかるんだけど)
(わかるんかい(笑))
ジミ×マクで一番萌えまくるのは、あれだけモーションかけまくるのに、助けを求めてきたマックスを躊躇いなくテキパキ助けて、偽の人生を用意してまで癒着しずぶずぶの関係で生きてきたのに、自分の身に危険が及ぶとなった瞬間に容赦なくマックスを切り捨てる(しかも「もう一度死んでくれ」とまで言うね)ジミーの鬼畜さ、卑小さですね(笑)。絶対殴り合いならマックスのほうが強いし、多分知恵も回るし、諸々きっとマックスの方が強いはずなんですよ、きっと(何ならマックスの方がガタイがいいし)(それは役者の話)(え)(だってジミーさん可憐な美少年美中年)
そんな元マフィアで絶対強そうなマックスが、年月を経て黒い癒着によっていろいろな力を得たとはいえ、あまり強そうに見えないジミーに「死んでくれ」「与えた命を返してもらおう」って言われて逆らえないんですよ(笑)。萌えません?(笑)

で、死ななければならなくなったときに呼びつけるのがヌードルス、と(笑)。結局マックスは連邦準備銀行襲撃事件の時から時が永遠に止まってしまっているんだよね。いや、正確にはヌードルスに襲撃計画に加わるのを断られてからかもしれない。
そして襲撃に失敗し、ベイリーとして生きていかなければならなくなり、マックスという人格を本格的に殺さなくてはならなくなって。デボラをよすがに辛うじてマックスの部分を保って生きてきたんだろうけれど、多分ヌードルスに裏切られた、という思いと、そのヌードルスを半ばだましてしまった、すべてを背負わせてしまった罪の意識とがないまぜになっていたんだろうなあと。
マックスとヌードルスの関係って、もういくらでも語れるくらい複雑でこじれまくってるのですが(笑)(じゃあやっぱりマク×ヌドなのか?)、本筋からいい加減ずれそうだし、終わらないのでここまでで。実はこれから話す件にもマク×ヌドって少し関係あると思うんですが、
マックスが一番愛し、焦がれた相手は多分「アメリカ」という国だったんじゃないでしょうか?

あの時代の移民、特に東ヨーロッパ系ユダヤ人は元の暮らしがどん底で、場合によってはロシア帝国による迫害から逃れてきた(屋根の上のヴァイオリン弾きのように)命がけのメンバーもいたりして。一見階級のない、一発逆転も可能なドリームワールド:アメリカを夢見てやってきた彼らに対し、当時のアメリカは(劇中でも言われてるけど)既に他国からの移植者に狩りつくされ、国王・貴族こそいないけれども明確な階級社会はやっぱり作られていて、しかも成熟しきっていて。遅れてやってきた彼らの目の前に広がっていたのは社会的敗者として甘んじるしかない立場だったでしょう。
そんな状況でやってきたマックスも、少年のうちはその年ごろらしく期待に胸膨らませて。(手段はともかく)無邪気に社会の階段を駆け上がり、選ばれしものとして一発逆転を狙う気満々で。だけどもそんな彼の無邪気な夢を引き裂いたのが仲間の死であり、大好きなヌードルスの逮捕。しかもそのヌードルスを裁き、彼らを引き裂いたのはマックスが焦がれぬいたアメリカという国、正義をかたるアメリカの勝者たち。可愛さ余って憎さ100倍ではないけれど、マックスがアメリカへの復讐心を強めたのはこのタイミングでしょう。だけど、これまたややこしいことに復讐心は裏を返せばマックスの、こじれたアメリカという国への片想いでもあって。
ただ単に金持ちになって成り上がろう、というのであれば普通に強盗をしたり、違法行為でギャングとして大きくなっていけばよかった。事実、そうやって大きくなり、政治家などと癒着していったギャングは少なくなかったわけで。でもマックスはただ単純に成り上りたかったわけではなくて、自分が愛し憎むアメリカという国に爪痕を残そうとしたからこそ連邦準備銀行を襲撃しようなどと考えて。
それに失敗しジミーに助けられて別人格を与えられた後も、ジミーに取り込まれ、利用された、というのもあるのかもしれないけれども、狙われる身としてヌードルスにようにひっそりと隠れ住むこともできたのに、表社会で生きられるのをいいことについに社会の階段を駆け上がって。
でも、彼は本当にそれで満たされることができたのだろうか。アメリカに一矢報いてやった、と思うことができたんだろうか。国防長官?国務長官?どっちか忘れたが、国のトップの一員にまでなることができたけれど、それは彼の望んだ復讐の形だったんだろうか?もちろん得たものも大きかっただろうけれど、失ったものの大きさ、重さの方が大きかったんじゃないだろうか。何より、あの地位にたどり着いてなお、アメリカという国は、マックスの想いに報いてはいないと思うよ。そう思っていたからこそ、ヌードルスにこれまでの一生を精一杯生きてきた、そのことだけは確かだ、と言ってもらえて、少しでも認めてもらえた気がしたんじゃないかなあ。自分の、アメリカに対しての複雑な愛憎も、認めることができたんじゃないだろうか。そして、それをよりどころにして生きてきたからこそ、もう死んでもいい、って気分になったんじゃなかろうか(まぁ現実的にあのタイミングで死ななければ、もっとひどいことをされた可能性は高いし、ヌードルスたちへの贖罪の念もあったろうしね)。
ここまで書いてきて、やっぱりマク×ヌドなんだろうか。いや、ヌードルスにかこつけたマックスのアメリカに対しての一生をかけたラブレターなんじゃなかろうかね。

そしてキャストに全く触れられなかったので次回に続く~(え、まだ書くの?)(はい)(書き終わるのに1か月以上かかってますがな)

大人と子供、傲慢さと不安さの絶妙なバランスの魅惑の男爵の旅立ちー珠城りょう 退団―

実はご多分に漏れず、初めはマイナスからのスタートだったんです。
たまきちとの邂逅は2012年月組ロミオとジュリエット、新公のグラフでの写真。
第一印象は「…ロミオとティボルトの配役、逆じゃね?」でした(笑)。
いや、ティボルトやってた煌月爽矢ちゃんの方が当時私好みの美人だったんでね(笑)。傍から見ても爽矢ちゃんの方が美少年で売った方が良くて、たまきちは野郎系で売った方が絶対普通に受けただろうに、なんか劇団の売り込み方はどうしたいんだか…という感じでしたが。
また、たまきちがロミオをやるにはあまりにガタイがよく、当世風の流行から行くと顔が、その、割と大きく(普通に頭身で考えたら小さいよ?ただ身長に対しアホみたいに顔が小さい人が多いからさ、最近)、また若いのでえらく、その、丸ぽちゃかったので…。当時美少年・美青年好みの私(今もか)としては、範疇外だったのです。
(いや、たまきちは普通に美形なんだけど。ただ、若いころはなかなか分かりやすく美形ではなかったんだよなー…いろいろ。当時私が嵌っていたのが凰稀かなめということで察してもらえれば、と(笑))

で、私同じ94期の当時たまきちと並んで景気よく推されてた某男役さんが大の苦手でして…。そして同じく94期の推されまくってた某ヒロイン候補だった娘役さんも苦手で…。だからその流れで、なんだ94期ろくなのいねぇってなってたんです。
(すみません、まじですみません。煌羽くんとか知らなかったんです、マジで。)
ロミジュリの本公演でも死をやっていたから目に入っていたはずなのにあまり印象に残ってないしな(というかあまりにものを知らな過ぎて当時普通に受け入れてたけど、ファルセットで歌う煌月くんってなんだ?(笑))。

てな感じでたまきちに対してマイナススタートで始まった私、その後ベルばらのジェローデルが存外よく、マイナスからゼロ地点まで無事戻ってきたり(笑)。(余談。後日見た新公のアランが結構よかった。)
その後も認識はしているけど、好きでも嫌いでもない、空気みたいな扱いをしていた私(笑)。2013年の全ツなんてけっこうかっこいいし、たまるりで組んでるシーン多いじゃん!って今なら思うけど、当時ショーでいたっけ?扱い(トホホ…)(芝居のJINで何やったかは覚えてるんだ、いちおー)(ちなむとそのあとのNWもおいしかったのに最近までガン無視だったからな)。世間的な雲行きが変わったというか、劇団が多分決意を固めたのは月雲の皇子の成功なんだと思うけど、2015年まで私は暢気にしておりました。
1789のロベスピエールはかっこよかったけど、あれはたまきちのカッコよさというか、シーンのカッコよさにやられてた感じだからな…。
そしてドラゲナイの中詰めの客席降りでタッチをスルーされてちょっと悲しくなったり(まあ近い席ではなかったんだけどw)(ついでにフィナーレの美弥ちゃんは戻ってきてくれてタッチしてくれたw)、フィナーレの出てきた順番で劇団の意図を察してしまいちょっと悲しくなったり…。ただ、当時怒り狂いはしなかったので、おそらくその時点でたまきちのことは嫌いではなかったんだと思う。嫌いとか苦手なスターが同様な状態になるともれなく怒り狂ってるので(笑)。とりあえず美弥ちゃんが辞めないことと、たまきちがアンチに押しつぶされないことだけを祈っていたような記憶。

晴れて2番手になった舞音では、あ、腹を括ったんだなあという印象を何とはなしに感じました。どこがどう、とは説明できないんだけどね。激情はあいにく観に行かず、NOBUNAGAの髭面のロルテスが地味にツボだったり(妻木@あーさを顎クイする写真はよくぞ昔の私買ったぞ!って感じだわw)。そうこうしているうちにあっという間にトップスターになって。
アーサー王伝説のたまるりのカップコンビぶりにもぎゅもぎゅしたり(あ、言い忘れてましたが、私たまきち単体で好きになる前に、たまるり萌えしてます、ええ)、最後のパレードで美弥ちゃんに変わらないほどの大きな拍手をもらっていることにほっとしたり…。近年例を見ない学年で、しかもちょっと複雑な環境で、とんでもない重荷を背負わせているなあと感じて迎えた2017年。

ちょっと当時の事情説明いたしますと、以前説明している通り、私、贔屓の一人に湖月わたるさんがいらっしゃいまして、彼女のルキーニが大好きなんですね。
で、2017年年明け早々のエリザOGガラコンで何度目かの湖月わたるブーム(笑)が私に来ておりまして、端的に言えばロスに陥ってたんですね。そんな、飢えた状態wで着いたグランドホテルマイ初日の席…。

見える…!舞台上に、私の湖月わたるが…!(笑)。

りかちゃんの退団以来、美弥ちゃんと真風大好きだったけど、なんとなく私の心に空いていた隙間にスッコーンとクリーンヒットwちなみに美弥ちゃんに関してもこの公演で改めてズボズボと沼にはまりました(あとちゃぴと海ちゃんもね)。グランドホテルもこの公演で大好きになって、もっとチケット取っておけばよかった~と後悔したのはまた別の話。

とは言えまだまだ懐疑的な私。カルーセル輪舞曲のたまきちはフラットに見てたから、たまきちに堕ちたんではなく、男爵が良すぎたんでは?となり、じゃあ、ということで観たAll for Oneのフィナーレであっさり撃ち落される(笑)。い、いや、あれは役が良くて合ってたし、フィナーレは1本物で役引きずってるから!全ツのカラフとクリタカは普通だったし!ということで迎えた2018年。みなさま、そう、あれです…。

BADDY…(笑)。

いやー狂った狂った。凰稀かなめの退団の時とどっちか、っていうぐらい大散財した公演。突如思い立って遠征行くわ、遠征先でチケット足すわ、東京でもおけぴで次々チケット足すわ、公演グッズ、絨毯爆撃並みに買うわ…(笑)。いや、BADDYに狂った話を今はしたいんじゃない。この公演は漢・珠城りょうに沼のどん底まで突き落とされた公演でした。
そっか、私は善良な人、スパダリなたまきちが見たいんじゃない。
黒い、傲慢な珠城りょうが見たいんだ…。いたずらして「やっちゃったテヘペロ」なちょい悪男(思いっきり悪男?(笑))が見たいんだわ…。
すみません、懐疑的になっててマジすみませんでした。あ、もうわかったからこれ以上いじめないでぇ~。

以来めでたく(?)たまきちに気持ちよ~く堕っこちまして。
雨に唄えば相手役は置いといてあんなに胸キュンロマンチックラブストーリーとして観たのは、映画版含めてン十回観た中で初めてでしたw
エリザベートのトート(だからなんで劇団は持ち味に合わない役ばかり振るかなあ、もう)はまぁちょっと持ち味には合わなかったけど、この時のエリザベートの作られ方が歴代とちょっと様子が違ったので(これもこれでまた別な話になるなあ)、その作られ方だとたまきちのトートでもよかったのかなあと思ったり。あと、たまきちは暗いセクシーさを持っているので、そこは持ち味太陽ギラギラっなまぁくんよりはトートがあってたかなと思ったり。
で、相手役さんが変わったOTTは正直映画版の方が数倍楽しいよな、と、思ったり…(野口先生ェ…)
ただ、幻想シーンの上裸スケスケシャツは楽しみましたよ、えぇ。たまきちの美点の一つにリアルな肉を持ち、セクシーなのに、いやらしさを感じさせない、ってとこがあるなあと思います。クルンテープの一蓮托生のシーンなんてファンタジックな、情緒に訴える官能性を持つ美弥ちゃんと、リアルな肉と温度を持つセクシーさのたまきちの相乗効果で、ものすごくいいシーンでした、えぇ。あぁ、いいコンビだったなぁ(遠い目)
IAFAはサイトーを唯一評価してもいいと思ったのは衣装のセレクトだな(とはいえお衣装さんの功績かもしれないし、現地に則っただけかもしれないからねぇ…)。これもたまきちの肉のリアルさが生きた衣装だった(さっきから肉肉言い過ぎだな、私…)。

私のたまきちのもう一つ好きなところは貴族的な仕草が似あうところなんですね。
や、古の少女マンガファンというか、プリンセス願望拗らせてる系なので(笑)、姫と騎士とか、女王と騎士的な構図、好きなんです(笑)。だから跪くのとか、胸に手を当てて控えるとか、手の甲に口づけとか、そーゆーの、似合う人好きなんですよね~。跪いて手の甲に口づけとか、もう最高じゃないですか!(何の話をしてるんだ)
だからスパダリなたまきちも嫌いじゃないです(笑)。

あとは恋に落ちる瞬間が見えるのがキュンとするんですよね。もうこの辺になってくると感覚的な話になって具体的な例を明示しにくくなってくるんですけど(笑)。あ、この瞬間に心が揺らいでいる、心臓の音が聞こえる、っていう芝居をするんです。特にちゃぴの時はまた、その心が揺らいで、空気の色が変わったのをちゃぴがちゃんと受け止めてくれる芝居をしてくれるから余計にときめくんです。ちゃぴじゃなかった時でも、雨唄があんなロマンチックなラブストーリーに仕上がったのは、ドンがキャシーの歌う「You are my lucky star」を聴いて、その歌の仕上がりはともかく心が揺らいだ瞬間を見たから。あのシーンを見て、あ、これはただの楽しいミュージカルコメディじゃなくって、ロマンチックなラブストーリーなんだ、宝塚なんだ、ってゆーのを認識しましたね~(ほんと、相手役もロマンチックだったらよかったのに)

ガタイがよくて、若い時から野郎臭が強くて、劇団が売り方を考えればもっと人気が出ただろうに、顔立ち・芸風も大人っぽくて研15~17あたりまでキャリアを続けてたらもっともっと渋いいい男になったのかもしれない。ただ、ないものねだりだし、決まったことだからどうしようもない。だけど、大人っぽい芸風から出てくる時折のガキンチョ臭とのなんとも言えぬアンバランスさも実は魅力だったのかもしれない。大人のモテ男を気取ったけれどもまだまだ未熟だった男爵のように。

アンバランスさと言えば、本人は頭にくそがつく真面目な優等生キャラで、ともすれば面白味ないタイプなのに(笑)、芸風はえらく傲慢だったなあ。自分でわかってんだかどうなんだかわからないけど(笑)。だからど真ん中の役をやり出してからの方が気になったんだと思う。ふつうは2番手のころの方が良かった、って言われがちだからね(笑)。黒い役をやるから。タニちゃんみたいなギンギラギンギラまぶしー、みたいなスター性・カリスマ性まではないけど、ど真ん中にいることに安定感があるんだと思う、ある意味。

退団の時期を会見で見て、さもありなんと思ったよ。本当に、よくぞあそこまで乗り切ったって大千秋楽で頭撫でたくなったもん、あの公演。いや、何様だって話だけど(笑)。本当にあの公演は相手役さん疫病神なんじゃねえの?っておもったからな。あの人絡むと大体休演発生するんだよ…

もう、語っても語っても止めどがないのでこの辺でやめますけど(愚痴多くなってきたし(笑))、劇団の猛プッシュで若くして大羽根を背負い、上級生の2番手を迎える歪なトライアングルでも職務を全うし、大切なその2番手が倒れた時も、3番手が倒れた時も、2番手にその座を渡すことが許されないまま見送らなくてはならなくなっても、なんでヒロインになったのかよくわからない、仲もあまりよくなさそうな相手役を迎えなければならなくなっても、健康で、ど真ん中に立ち続けた、そのことだけでも称えたいと思いますよ。後半戦は正直作品運にも見放されたような気がするけど(苦笑)、最後の最後にくーみんがまた来てくれたこと、相手役から解放されて芝居ができるタイミングを与えられたことが、僥倖だと思ってます。
バウも取れるかわからないけど、追っかけるつもりです。

とりあえず誰が辞めた時よりも思う、ただただひたすら、お疲れ様でした。

ぽんぽこ村のまあやちゃんとの別れー真彩希帆 退団ー

どわー、私書きかけを下書き保存したはずなのに、消えてるだとぅー!?
くそっ、前回どこまで書いたか忘れたよ…。

まあやちゃんを初めて認識したのはいつのタイミングだったかな。
「Mr.Swing!」で初ソロをもらってるのも、「エリザベート」でシャンプーの成分を歌ってるのも(笑)生で観ているはずなんだけど印象にない…。
そのころネットでやたら歌うまと騒がれていたので、組替え前に名前は知っていた状態。だけど上記の通り生で聴いていたタイミングでは特に印象に残っていなかったので「へーほーふーん」状態(笑)いや、そこそこまじめに合唱でソプラノをやっていた人なら分ってもらえると思うんだけど、娘役の歌はほぼ自力で歌えてしまうので(笑)、男役の歌うまよりは点数が辛くなるというか、ほんとに歌うまなのか正直判断しづらくなる、っていう嫌な経歴の持ち主なので私(笑)。自分には絶対出せない歌声で歌える、っていうのが娘役の歌うまか否かを判断する基準かな、基本的には。それ以外だと芝居歌が歌えるか、とか、そういう部分もあるんだけど。今まで掛け値なしで上手い、と思った娘役は路線ならかなみん、路線外なら美々杏里様と美穂姉さま、宙組のりりこかなあ。ああ、あと数は聴いたことないけど大昔なら峰丘奈知さんとか…。(出雲綾さんももちろん歌うまだと思うけど、自分に出せない歌声っていう点では美々杏里様や美穂姉の方が強い)

話がそれた。いまはまあやちゃんの話。
星組に来てもまあやちゃんに関してはいまいち認識ができず。ちえの退団の時は何とか手に入れた1回だったのでとーぜんながらまあやちゃんに関してはほとんど見ておらず、その後のみっちゃんのタイミングでもあまり認識できず。新公はニュースで見ていたけど確かに上手いなーっていうレベルでの認識。全体が観られないからね、しょうがないっちゃしょうがないんだけど。また、星組時代のまあやちゃんはこれでもかっていうぐらい外箱に関しては、私が行かない(行けない)公演にばっかり出るので、せっかく活躍していてもちゃんと認識できない。
そんな中でやっとこ真彩希帆っていうスターを認識できたのは、実は「鈴蘭」の突撃レポ。最近の娘役さんには珍しい、落ち着いた声、はきはきとした話し方と物腰、娘役としてどう、っていうより一人のスターさん、役者さんとして好印象を抱きました(笑)。いや、ちゃんとした1人の大人の女性として話せる娘役さんって好きなんですよ(この場合の大人はアダルトなって言う意味じゃなくて、普通に大人ってことね)。なんかブリブリすること、可愛くすることが娘役力って勘違いしている子が増えてきている気がするんですが(いや、ある程度身綺麗にすることはもちろん大事だけど)、それ以前にきちんとした話し方・立ち居振る舞いを身につけようよ…と思うことが最近多いのです…。ブリブリで可愛いのか、素で天然で可愛いのかってある程度見ているとわかるしね。まぁブリブリも職人技級に究めればそれはそれですげえってなるけどw

で、無事に真彩希帆というスターを認識出来たところでとーとつな雪組へのお嫁入。だいもんのくんだりでも書いたけど、だいみちに萌えていて、だいみちで組んでほしいなぁーなんてぽやんと考えてたところのお見合い話というか、政略結婚話というか、実は子供の時から許嫁は決まっていたのよ、みたいな…(笑)。だもんで、まあやちゃんがどうこうはなかったけど、じみーにショックだったり。まあやちゃん、という子は認識できていても、スターさんとしてどんな子なのか、っていうのは未だ分からずじまいのまま桜華を観劇。
まあやちゃんが何の役をやるのか、認識してから行ったはずなのに、とっぱしに歌の技量がものすごくよくわかるような歌も歌っていたのにやっぱり認識できないまま…どうも、肝心の舞台人としてはどーなの?っていう部分が全く把握できないまま雪組へようこそ、となったわけで。

で、いざ幕末太陽傳を見てみた結果…
もしかして、お芝居あまり得意でない?
なんだろー、桜華の時にはあまり感じなかった引っかかりを感じて、もしかして芝居が得意ではないのか、という印象を抱きました。
(まあ、桜華自体脚本取っ散らかってるわ、演者の芝居もいろんな方向に取っ散らかってるわで、作品としてまとまってた印象があまりないんだよな。なんとかふつーに芝居をしていたのがふうちゃんとまことちゃんとまあやちゃんだったので、上手い下手を問う状態じゃなかったのかも…)
歌は、まあ声はきれい、普通に上手に歌ってますね、という感じで、まあちぎみゆのサヨナラということもあって、派手な見せ場もないので、余計ずば抜けた歌うまだよ、っていう前評判が良く分からなくなってしまったのでした。

ずば抜けた歌うまだよ!っていう満塁ホームランをかまされたのは、多分たまたま見た花エリザの新公かなあ。これまで「これが真彩希帆です!」って聴かされていた声とは打って変わった歌声がマダム・ヴォルフの歌で聴かされて、その声のコントロール力に舌を巻いた。
もしかしたらこの子、すげーヤバいくらい歌が上手いんじゃないの、って遅まきながら気づいたタイミングでの「ひかりふる路」の観劇。
東京公演で、まあやちゃんの声の調子がよろしくなくなっているタイミングでの観劇だったけれど、あの幕末太陽傳での芝居が嘘のように、芝居の世界に引き込んできた。
え…嘘…なんか信じられないくらい芝居が上手くなってるんですけどー!?
いや、芝居はもしかしたら雪組にきてから格段に上手くなったのかもしれない。だけど、歌に関しては、これまでまあやちゃんの実力をフル稼働させられるものが何もあたってなかったんだ!と脳天に気持ちよーく一撃。

以来すっかりまあやちゃんのファンに。凱旋門は当初儚げな美女のイメージがどうにも浮かばなかったけど、演技力でカバーして、悠様との年齢差も埋めるべく努力する様にプロ意識を感じたり。
ファントムのクリスティーヌで、歌の力で人をひれ伏させるってこういうことを言うんだ、っていうのを強く実感したり。
20世紀号に乗って、では「もう上手いです。本当に上手いです。今まで疑ってすみませんでした」ってなるぐらい歌うま真彩希帆爆発だったし。
辛抱どころだったけど、壬生義士伝は今のトップ娘陣でまあやちゃんじゃなかったらあの2役は難しかっただろうし…。
あとで書くけどワンスはほんとーに見事すぎだし…。

でも、一番好きだったまあやちゃんはさきなのブリドリで男役たちを差し置いて誰よりもイケメンで男前だったことかもしれない(爆笑)基本的に自分の足で立てる、古参のヅカファンからは「可愛げがない…」って言われそうなタイプ、割と好きなので(笑)。娘役の男前っていうのも塩梅が難しいところで、人としてのかわいらしさ、愛嬌はなくしてはいけないと思うんだよね。その辺、ウメちゃんとかふうちゃんとか、まあやちゃんは塩梅が絶妙だと思う。

あ、タイトルに関しては、我が家でのまあやちゃんは可愛い子ダヌキ認識なので(笑)。ぽんぽこ村のまあや子ダヌキ、と時々ふざけて呼んでおります(笑)。
そんな可愛い子ダヌキなところも含めて、実はだいもんよりファンかもしれない。
その相性の良さから、咲奈と組んでくれてもいいなー…ってちろっとも思ったけれど、やっぱり添い遂げる道を選ぶよね…。

くーみんと生田くんなら、きっとまあやちゃんにもいいようにしてくれると思うので、不安はありませんが、でもやっぱり寂しいです。

歌うバズーカ(笑)との別れー望海風斗 退団ー

初めて認識したのは2013年のオーシャンズ11だったかなあ。
当時ヅカファンピヨピヨだった私は、よく読んでいたヅカオタさんのブログで、望海風斗っていうバリ歌うまの男役がいるよ~という情報はぽやんと頭にはあったのです。
とはいえ、花組生初観劇時のCONGAの時は認識も、目を引くことも特になかったので、そんなことはすっかり忘れて観劇に臨んだのです。

いや、いましたよ。小さい体で楽しそ~に歌と芝居の巨大バズーカでバッコンバッコン、パワーバランスを崩す望海風斗が(笑)
前もどっかで書いたけど、ほんとにあの公演はみっちゃんがいなかったらもっとパワーバランス崩れてえらいことになっていただろうな。ま、みっちゃんはその辺、だいもんの上をいくパワーバランスブレイカー北翔海莉なので(笑)、私が観に行った回なんぞだいもんをツボにはめて喜んでましたが(笑)。とにかく、その日の私の感想はだいもんとみっちゃんで一杯になってしまうくらいには強烈な印象を残したのです。(あとは客席降りで蘭とむさんに微笑まれたことくらい)

私、基本パワーバランスブレイカーって苦手というか、はっきり言って嫌いなんですが(笑)、その時のだいもんのそれはあまり気にならなかったのです。たぶん上手さが気持ちいいくらい突き抜けていたからなんでしょうね。あとはだいもんがバランスブレイクというより、周りの方が追い付いていなかった、というのはあると思う。芝居巧者のおおい当時の月・雪・宙あたりでやったら、あそこまでバランスブレイクではなかったんじゃないかと。
愛革の景子先生のロミジュリ劣化版パクリに眩暈がしながらもだいもんの侯爵のラストソングにやっぱりバランスブレイク(笑)って思いながらもだーだー泣いて、生で観てないけどBASARAもアンドレも、一人色味の違うものを見せてきて、いつしか、もっと別な組の方がだいもんはもっと生き生き活躍できるんじゃないかなあ、なんて、薄っすら思い始めた頃に雪組に組替えの話があって。ちょうど、エリザベートと100周年大運動会で、距離を置きたい組になってしまった花組から、わが心の故郷(笑)な、雪組への組替えに諸手を挙げて喜びました。雪組に来て、生き生きとバズーカをぶっかましても(笑)必死にバランスを保っていく雪組生が頼もしく、そして前よりも伸び伸びとバズーカを放つだいもんが愛おしく…。
個人的にドン・ジュアンのだいみちコンビが愛らしくて、こんなカップルを見ていたい!と思ったのも懐かしく(笑)だいきほに決まって、ちょっと悲しかったけれど、そんな気持ちを吹っ飛ばすくらい、いいものを沢山見せてもらいました。

若いころ「結構上手いね~!」「きれいだね~!」でもてはやされて、いざ真ん中に立つようになって、その舞台にぬるさが出てくるようになったり、自慢になる得意分野のメッキがはがれてきたりで、なんだか微妙だな~…って思うようになったスターさんも正直何人かいる。そのために、好きだったのに、苦手になってしまったスターさんも正直いる。
でも、だいもんは、そして後で語るけどまあやちゃんはトップになってからそのぬるさを感じたことは一切なかった。そして得意分野が凄まじい勢いで進化していった。
だいもんに関しては花組時代から芝居上手かったけど、雪組に来てからの方がどんどん緻密さがまして、好きになった。
特大バズーカを自由自在に操れるようになった気がする。この間の壬生義士伝は、だいもんの芝居でこんなに泣くことがあるのか、っていうくらい号泣した、失礼ながら。上手かったけど、人の涙腺を揺り動かすような上手さとはまた違うと思ってたから。

こんなにさんざんバズーカバズーカ言ってるけど、実は私がだいもんで好きなところはピアニッシモを操れるところ、AメロBメロを歌わせることができるところ(笑)。
世に歌うま数あれど、フォルティシモを効かすことができる歌うまは数あれど、サビを聴かせることができる歌うまは数あれど、ピアニッシモを操れる歌うまは、AメロBメロを聴かせることができる歌うまは多くはない。こんなにもテクニックと声の良さが好みの通りな歌うまスターもそんなにいない。必ずしもエリートコースまっしぐら、ばかりではないキャリアを見てきた今から見れば、これほどのチケ難スターになるなんて、というのも正直な気持ち。

結構にイタい拗らせたヅカファンというキャラクターも、その端正な美貌とのギャップで愉快だった。ヅカオタ上がりのジェンヌは数あれど、こうまで拗らせた人はなかなかいなかったと思うwトップになってからライビュを観に行くと、本編に熱中し、号泣していても挨拶の酷さでw全部すっ飛ぶくらいには愉快なキャラクターだった。
それでも「情けない」「みっともない」にならないのはだいもんの知性なんだろうな、とも思う。

最後にもう1個。優等生型のスターさんで、こんなに萌えを提供してくれる人もなかなかいなかったです(笑)。優等生は大体魂が健康なのか何なのか、萌えとかエロスからは遠い人が多いイメージなので(笑)。だいもんの持つちょっと黒い被虐性が何とも言えない萌えの要素でした。

素晴らしい高みを目指すプロ根性と、ある意味誰よりもファン心理に寄り添えるオタクぶりが、良いバランスを保って作り上げられた男役スターでした。

私の愛したピアニッシモの使い手、最後はベートーヴェンとしてフォルティッシシモな(笑)特大バズーカの歓喜の歌を大劇場に響かせてください。

2019年まとめ

<宝塚>
月組…On the Town 2回
   アンナ・カレーニナ LV1回
   夢幻無双/クルンテープ 7回(うちLV1回)
   チェ・ゲバラ 1回
   I AM FROM AUSTRIA 3回
雪組…ファントム 2回(うちLV1回)
   20世紀号に乗って 1回
   壬生義士伝/Music Revolution! 3回(うちLV1回)
   ハリウッド・ゴシップ 1回
宙組…パパ、アイ・ラブ・ユー 1回
   黒い瞳/VIVA FESTA! in HAKATA LV1回
   オーシャンズ11 3回(うちLV1回)

合計 26回
遠征 3回(パパ、アイ・ラブ・ユー、夢幻無双/クルンテープオーシャンズ11)

今年はなんといっても美弥ちゃんの退団がありまして、それもあって夢幻無双が観劇数の1/3を占めました。諸事情あって花と星を見ておりませんので(笑)、今年観劇したショーの大部分がクルンテープでした(笑)というか他はMusic Revolution!しか生で見てないんだけどね。花と星を見てない私も悪いけど、1本物多くない?
あと、月以外のチケットが基本的に手に入らない。
(追記)On the Town、アンカレ、抜けてました。っていうかなんで抜けてた?やっぱり年明け前の若干寝ぼけた頭で書くもんじゃないよな…。こうしてみると、2019年もそう少なくないのか。

Best of 芝居(大劇場) 壬生義士伝
Best of ショー Music Revolution!
Best of 芝居(外箱) パパ、アイ・ラブ・ユー

ほとんど雪組(笑)個人的に去年のほうが各組面白い演目が多かった気がする。
ちなみにコンスタントに宝塚を観るようになったのが2013年からなんですけど

2013年 16回
2014年 20回
2015年 21回
2016年 29回
2017年 22回
2018年 31回

ってな感じです。こう見るとやっぱり去年異常(笑)。

その他

生のわたコム小雨&ボレロに大興奮でした。

お茶会
蒼羽りく 東京

退団前に行ってまいりました

外部
暗くなるまで待って 1回
銀河鉄道999 1回
湖月わたる芸歴30周年ミュージカル 1回
ペテン師と詐欺師 1回
ファントム 3回

暗くなるまで待っての、加藤くんとりかちゃんの共演、もう一度みたいなぁ…。
あと、M!と1789また再演しないかなぁ。
(追記)スクルージ、抜けておりました。失礼しました。

旅行
神戸(遠征)
京都(遠征)

今年はあまり旅行行かなかったなぁ…。来年こそは海外行きたいなぁ。

フィギュア
カーニバル・オン・アイス

今年は初めてカーニバル・オン・アイスも生で参加しました。
大ちゃんのシングルラストを生で見納めました。
でもそれでまんぞくしちゃったのか、今年その後一切フィギュア見てないww
今年そんなに忙しくなかったのにね…。
まあ、ロシアのチビちゃんたちとか、色々言いたいこともあるんだけれども、ちょっとそれで見たい気が失せてる、ってのもあるかなあ。

ほか
今年は初めてミュージカルオフ会に参加させていただきまして、お友達がドドーンと増えました。そのつながりでディズニーシーでほぼ初めてアトラクションにも乗って(昔オープンしたばかりの頃にシンドバットは乗りました)、ピューロランドも久しぶりに行きました。
今年お友達になったばかりなのに、もう長年の付き合い並みの馴染みっぷりです(笑)

そんな感じの1年間でした。
来年の観劇初めは、1月4日のアクアヴィーテの予定です。グラスも買いました!

ファントムと壬生義士伝の感想まだ終わっていないのですが、ひとまず今年の投稿はこちらで終わりです。

こんな感じのブログですが、またまたお付き合いよろしくお願いいたします。

エリックってキモオタだよ?(笑)ー城田演出ファントム感想ー

って思いました(笑)。いや、のっけからすみません。
城田優演出のファントム、観劇してきました。最初チケットが1枚もない、と思ったらあれよあれよという間に3回観劇できました(笑)。おかげでクリスティーヌは固定でしたが、ほかの役替わりはフルコンプできました。

で、タイトルの話になるのですが、これはマイ初日の城田エリックがあまりに素敵にキモオタであまりに子供だったんでねー(笑)幕間に場内うろちょろしていたら後ろにいたお嬢さんがた(たぶん私より年下だからお嬢さんでいいや)が、多分だいもんエリックからこの作品に入ったんだろうけど「エリックってこんなにキモオタだった…?」みたいな戸惑いの声が聞こえまして(笑)(ニュアンスですよ、実際はもっとオブラートに包んだ言い方をされてました(笑)でも意訳したら絶対こーなると思う(笑))。
ファントムって多分観客の大部分がまずヅカオタが占めていたんじゃないでしょうかね。初演もヅカだし、この間やったばかりだし。まぁ今回はテニミュ勢が出演者に多くいたので役者ファンも少なくなかったと思いますが。あとはロイド=ウェバーと間違えた人とか(笑)。
非ヅカオタで大沢たかおの観ました、とか作品ファンで、って人はどれくらいいたんだろう?大沢たかおのとか、前回の城田君のはあまり評判が良くなかったようなので、それを見て今回も見よう、って人は少なかったんじゃないか、って気もするけど…)
ヅカの美しいエリックや、ロイド=ウェバーのミステリアスでセクシーなファントム(ロイド=ウェバーのはファントムの本名分からないしね)しか観ていない人にとって、しかも今回のエリックも役者はイケメンだから、エリックの役作りには違和感を覚えるでしょうけれど、でもちょっと待って。
エリックってそもそもやってることはキモオタだから(笑)
ジェンヌの美貌やイケメン俳優の美貌でカモフラージュされてるけど、キモオタだから(笑)
いや、すごくすごーく突っ込みたくてしょうがなかったです(笑)

オペラ座にやたら込み入った仕掛けを作ったり、推し(クリスティーヌ)を見つけて支援したり、推しに夢抱いちゃって推しに彼氏がいて勝手にショックを受けたり(笑)、推しがライバルに嫌がらせされたら「○○ちゃんは僕が守るよ😍(*´Д`)ハァハァ 」といっぱしのナイト気取りで仕返ししたり、自分の得意分野になると異常に饒舌になったり、かと思えばクリスティーヌが普通に女の子として彼に近づけば、どーてーくんなので(笑)おどおどしたり…。オペラ座だ、音楽の才能だ、母の面影だ、を絡めるから上級な話に見えるけど、要素だけつまみ出せば完全に行き過ぎたキモオタ(笑)。
そーいえば昔読んだオペラ座の怪人の原作でも、クリスティーヌがエリックに攫われて、はじめ誰だかわからなくて怯えていたのが、歌った瞬間彼女を指導していた「音楽の天使」だ、っていうのが分かって感動するとともに、目の前にいるのがただのなんとも微妙な男で、幻滅する、みたいなシーンがあったような気がする(まだ仮面を取って、醜悪な容貌を見る前ね)。
今回の、特に城田君がエリックを演じてた時はそのエピソードをなんとなく思い出したわ。その美声と、歌った時としゃべり始めた時のその落差ぶりに(笑)
このバージョンは(というか非ヅカ版はみなそうかな?)、「僕の悲劇を聞いてくれ」がないので、パリの街→ブケーの地下探し→エリック発見、顔を見て殺される、の流れなので、エリックがマント姿でミステリアスに登場→美声で嘆きを歌い出す→そのまま退場となり、エリックの普段の残念さ(笑)がまだ出てこない。また、城田君も加藤君もそのマント姿がえらく美しいので、エリックに対するときめきが上がります。特に加藤君は歌声が「こんなにノーブルだったっけ?」って思うくらい、えらくど正統な歌い上げ方をするので、本当に王子様チックです、ここまでは(笑)。
城田君はマント姿のあまりの美しさに息をのみました。日本のミュージカル俳優、格段に容姿が良くなったとはいえ、城田君の姿の良さはこれまた格別でした。
姿が良いといえば廣瀬君の頭身の良さもまた、才能レベルの良さだったのですが、これはまた後述。

廣瀬君の名前が出てきたので、フィリップの話。運よく廣瀬君2回、木村君1回観ることができました。廣瀬君は先ほども言った通りの見事な頭身。1789でのわが贔屓の男性の初キスシーンの相手役ということもあり(笑)、思い入れもひとしおなのと、なかなか彼の役者根性が好きなので、割と最近好きな若手役者さんですが、今回も良かったですねー。ヅカオタが観ても納得の王子様ぶりだったのではないでしょうか?
エリザベートのルドルフでノーブルな癖のないテノールと、最近の日本のミュージカル界に稀な癖のない王子様芝居で、目下の注目株だった木村君(笑)。こちらも王子様で来ると思いきや、テラ鬼畜(笑)。廣瀬フィリップはビストロの時点でクリスティーヌにガチ惚れしてるけど、たぶん木村フィリップはキャリエールと同じ、なんかあったら多分ふつーに捨てるよね、クリスティーヌのこと(笑)。ってゆーか、ファントムの件がなかったら、単に飽きても捨てそうだ(笑)。(役作りの話。木村君本人がどうこうは知らない。)きっと木村フィリップは自分が一番かわいくて、自分のことしか愛していないと思う。キャリエールは単にツメと見通しの甘いクソ男だけど、木村フィリップはマジ鬼畜だわ(笑)。同じ役でも180度役作りが違うので面白かった。

個人的にMVPだった、カルロッタのエリアンナさん。歌手の方、というイメージが強かったんですが、意外と舞台もよく出られているようですね。
本職の方だけあって歌がお見事なのはもちろん、コメディエンヌっぷりの見事さ、塩梅の見事さも素晴らしかったです(コメディにおける音痴って塩梅が死ぬほど難しくて、やりすぎると白けるし、本来上手な人が絶妙なラインで音痴に歌うのって相当難しいんですよね。正しい音が分かっちゃうし)。こっちのカルロッタはヅカ版の姑根性、お局根性丸出しの分かりやす~い悪役ではなく、ある意味一本筋の通った悪役なので、その魅力の見せ方も良し。「オペラ座は私のもの」に関してはプリマドンナとはさすがにちょっと違う唱法ではあったものの、あの曲自体、オペラティックに歌うのは不可能なのでそれでいいのだと思います。

キャリエールの岡田浩暉は3回中2回は微妙な感じ。いや、下手とかいうよりは芝居が個人的にはまらなくて。だから好みの問題。や、雪組の咲奈のキャリエールが好みドストライク過ぎたのでね。鬼畜な所業を宝塚的悲劇のきれいなヴェールに包みつつも、奇麗事になりすぎない、重い鎖で彼の体に縛り付けられた大きな十字架が見えたので。若さゆえの浅はかさ、傲慢さ、愚かさで、自らが引き起こした悲劇に囚われ、我と我が身を責め苛み、懊悩し、若さを失ってしまった男だったから。
岡田浩暉のキャリエールは重っ苦しく、悲劇を悔いている振る舞いをしている割には、心の底からの苦しみが見えない、上っ面だけに見えてしまった。まるで、この悲劇に自分だけが酔い、感動の父子の名乗りあいに彼だけが酔っているような。なんだか苦しみの十字架が見えないのに、苦しみに酔っている様を見せつけられ、父子のお涙頂戴な場面を見せつけられても引いてしまう、そんな感じの演技だったんですが。
ちょうど2回目を観に行って1週間ほど経った頃にマイ楽を迎えまして。
キャリエールの演技プラン以外にも演出が要所要所マイナーチェンジをされていたのですが(エリックがカルロッタを殺害するところが、刺す回数が減ってまだるっこしさがなくなり、スッキリ見やすくなったり)、大幅に変わったのはキャリエールの演技プラン。
どこがどう、とはいえないのですが、もう最初から、ショレ氏を相手にコミカル半分で彼を脅かしてもその陰に重い鎖を引きずっているのが見える。やがてショレがいなくなり、エリックと語り始めると彼の背中に大きな十字架が括りつけられているのが見えるようになるの。その十字架が見えるから、ビストロの場面でクリスティーヌの歌声を聴いた時のショックの強さとか、ベラドーヴァを失った悲しみとか、エリックを愛しながらも恐れる心とかが初めて自分のものとして捉えられるようになりました。
個人的に甘さのあるイケメンなので、年くった姿でのキャリエールとベラドーヴァのデートシーンがなんとも言えぬ禁忌感があってよかったですw いや、実際のキャリエールは若い時にベラドーヴァと愛し合っていたのだけれど。あと、どうしようもないクソ男なのに、そのイケメンさで恋した女の方が破滅してしまう感が出るのもいい。

そして、観に行った理由の大半を占めたちゃぴのクリスティーヌ。いや、歌声に関しては多分まあやちゃんの方が上になるだろうな、とは思ってました。ちゃぴはもともとダンサーなので。まあやちゃんの人をひれ伏させる、降伏させる歌声ってのはなかなか出せないので(今回のワンスはそれをまた別のいい感じで使ってたなあ。また別の話)。
だけど、あのちゃぴのパッと場の華やぐ、あの華の出し方、ってのはどうなってるんでしょう。失礼ながらいわゆる絶世の美女型の容姿の持ち主ではないのに、物語の力点がどこにおかれているのか、自分の力で示す能力を確実に持ってんなー思うんですよね。エリザの時も強く感じたけど(成河との回なんて力点をちゃぴと二人で持ってっちゃって、完全に芳雄ちゃんがかすんでたもんな…)。特にその華やかさを感じたのがビストロの場面で、ここはヅカ版と違いエリックが出てこないので、否が応でも主役としての力点がクリスティーヌに向いてくるわけですが、クリスティーヌが自信を取り戻し、自在に音で遊び始めると、まさにプリマドンナとしての華がこぼれ出てくる…。その場にいる人だれもが彼女に注目し、彼女の歌に耳を傾けずにいられない…。まさに、舞台役者としての天性に恵まれているんだと思います。
また、プリマドンナとしての華を溢れ出させながら実は平々凡々たる娘、という演技も見事。自分のキャパシティを過信して、「My true love」を歌い上げ、いざ仮面の下を見たらキャパオーバーになり逃げだし、そのことに自己嫌悪して泣く。嫌な女と言えば嫌な女なのかもしれないけど、仕方ないんだよ。田舎で生まれ育ったごくふつーのいい子が、たまたま美しい声と才能に恵まれてしまった、それゆえに凡人は遭遇し得ないドラマチック展開に巻き込まれてしまった、そんな悲劇なんだと思います、この物語は。
現役の時からちゃぴの演技には納得させられることが多いのですが、今回も非常に良かったです。

一部、なんだかよくわからない部分もあったのですが(ジャン=クロードの性別変更とか)ヅカ版との違いが程よく生きつつ、ヅカ版から入った人間でも割となじみやすい作品だったのではないでしょうか(いや、演出次第で、それ全く別物じゃねーかっていう作品が結構あるんでね)(ヅカと外部ミュージカルはメディアミックスとして異なるジャンルなのかもしれないけど、作品として別物になりすぎるのはどうかと)(そして、外部版の方がつまらなかったりするとかね。某紅はこべさんとか)